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京都国立近代美術館
1906年にフランスで創業したヴァン クリーフ&アーペルが、1973年に日本に進出してから半世紀。これまでもメゾンは、日本の文化芸術と特別なつながりを築いてきました。そして、これからもフランスの装飾芸術と日本古来の芸術的技巧との対話を続けていきます。
2017年、日本とフランスの極められた技の粋を紹介する展覧会「技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル/ハイジュエリーと日本の工芸」が、京都国立近代美術館で開催されました。
本展には、ヴァン クリーフ&アーペルによる約270点のハイジュエリーと、63点の日本の工芸作品が出品され、メゾンの創設から現在に至る歴史、そしてジュエリーと明治期の「超絶技巧」、そして現代工芸との共演が披露されました。
右:玉虫香合桐文
服部峻昇
平成26年
木、漆、玉虫の羽、蒔絵
左:二枚の葉のクリップ
1967年
プラチナ、ゴールド、ミステリーセットエメラルド、ダイヤモンド
神代杉木画箱
中川清司
平成17年-29年
木、象嵌
レディバードミノディエール
2017年
ゴールド、サファイア、ガーネット、スピネル、トルマリン、ダイヤモンド
目玉となったのが、メゾンのハイジュエリーと日本の明治期に盛んに作られた「超絶技巧」と呼ばれる工芸作品の共演です。本物と見間違うほど写実的な日本の金工や陶芸、図柄が細密細密に施された七宝は、観客を魅了しました。また、メゾンのハイジュエリーにも、草花や鳥、動物、蝶など、日本の工芸と共通するモチーフが多く見られます。
それらは、ボリュームや光の反射、色彩、動きなどあらゆる点において写実を超えた生命感を宿しています。これには、高い技術を持った職人による何百時間もの複雑で困難な工程が不可欠です。そうして込められた「技」と時間が、作品が内包するエネルギーとして現れるのです。
展示風景
展覧会を機に発表された、ヴァン クリーフ&アーペルと現代の日本の工芸作家とのコラボレーションも高い注目を集めました。
現代漆芸家の服部峻昇氏の作品《玉虫香合 桐文》には、メゾンの《二枚の葉のクリップ》を合わせて展示しました。玉虫の羽を用いた蒔絵による格子模様とミステリーセッティングによってあしらわれたエメラルドが、素材を超えて共鳴しています。
右:耀貝飾箱「花に舞う」
服部峻昇
平成28年
木、漆、螺鈿
左:ソクラテスリング
2000年
ゴールド、ダイヤモンド
写真:江崎義一
左:耀貝飾箱「蜻蛉」
服部峻昇平成28年
木、漆、螺鈿
右:リベリュル(トンボ)クリップ
2016年
ゴールド、サファイア、ガーネット、スピネル、トルマリン、ダイヤモンド
写真:江崎義一
そして、本展を象徴するような異色の取り合わせが、中川清司(重要無形文化財「木工芸」保持者)が制作した《神代杉木画箱》の中に、メゾンの《レディバード ミノディエール》(2017年)を収めた試みです。
木画技法の中でも木の正目を合わせる「柾合わせ」技法を使った《神代杉木画箱》は、神代杉特有の繊細な木目が作る幾何学模様が印象的な作品です。木の色味そのままの神代杉と多彩な宝石を使ったカラフルなミノディエール。異なる強さを持つふたつの作品が一体となることで、お互いを引き立て合うハーモニーが生まれました。
中川清司氏の制作風景
それぞれ固有の文化と歴史をもつフランスのハイジュエリーと日本の工芸。展覧会では、双方が異質なまま隣り合うことで、作品の個性が際立つだけでなく、ふたつの間にこれまでにない魅力が醸し出されました。その発見がもたらす驚きと喜びは多くの観客を惹きつけ、動員数は10万人を超えました。異なる地で極められてきた「技」と「美」に意外なつながりを見出した本展は、こうして日本とフランスの文化交流の新たな架け橋となったのです。
「技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル/ハイジュエリーと日本の工芸」
会場|京都国立近代美術館
主催|京都国立近代美術館、日本経済新聞社、京都新聞
*本展覧会は2017年4月29日より8月6日まで行われました。